近くのコンビニでたばこを買ったら「若く見えますけど未成年じゃないですよね?」と店員より疑惑の目を向けられたのでびっくりした。おいおいいくらなんでも節穴すぎるだろ店員さんよ、だっておれはもうよんじゅうのおっさんだぜアラフォーつかジャスフォーだぜ加齢臭ただようぜと心の中で毒づき小銭をたたきつけ自動ドアを蹴とばして出て行ってやろうかと思ったが、ほんとうのおれはにじゅうろくさい好青年なので「いいえちがいますよ」とハニカミ全開でしかも「そんなに若く見られたのはじめてですうれしいな」なんてまさに良い人の見本みたいな台詞を残した立ち去り際にガラス張りのドアにうつる自分の姿のなかで瞳の輪郭だけがあいまいにぼやけ見つめ返す視線はわずかにすれちがうような気がするのだ。おれは右手をドアにのばす。自動ドアですらないのだった。