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qbcさんから「小説何読んでンの?」と軽い感じで問われたのだが、はて、と思って考えてみると咄嗟に出てこない。村上春樹を読んだことだけは確かなのだが。果たしておれはどんな小説を読んできたのか。すなわちそれは、「おれの今の文章をかたちづくる礎は何なのか」という問いに他ならない。年も改まったところで、おれはおれのことを振り返り、そしておれについての解題を以下に述べてみる。
言わずもがなである。村上のすごいところは、平易な日本語でおそろしくかっこ良いことを言ってのけることだ。まるで中身のない、ひどく思わせぶりな、それでいてかっこいい文章を書くのだ。村上のやり方はそれまで堅苦しい日本語で書かれた小説しか読んだことのなかった読者に衝撃を与え、「おれにも書けそう」と勘違いする人間たちを量産したのだ。おれもその一人なのだった。
詩もメタもすべて呑み込んだ、まるでこどもの落書きみたいな小説を書く人。小説なんて嘘を書けばいいんだ、嘘をばかばかしくかっこよく書けばいいのだ、ということを思わされた。ばかばかしければばかばかしいほど良いのだ。
説明過多で冗長な文章を書くときのお手本。そして、愛の話ってこんなに楽しいきもちになるんだ、と気付かされた。
舞城とは逆に、短いセンテンスに命を込めるちからづよさを見せつけられた。
杳子の冒頭はいま読み返してもふるえる。情景描写のすさまじさ。
ギボン! 小説とは好きなことを好きなだけ書いていればいいのだ。
ひねくれた文章のおかしみ。
- るるるぶ☆どっぐちゃん
るるるぶさんの音楽はエイフェックスツイン〜ワールズエンドガールフレンドに連なるものと認識しているのでそういう意味での「新鮮さ」はないが、文章についてはほかに似たものを知らないのでおれの中で唯一無二である。
- さやわかさん
ニーツオルグのことを指すのでこの名。小説ではないが、文体において非常に影響を受けた人。好きなものを好きと言い切る姿勢とか。
がんばって思い返してみたが、いまおれの中に息づいてるというとこのあたりかなあと思う。これ以外のものは、読んでも忘れてしまったか、あるいはそもそも読んでない。ものすごく偏っている上にすくない。だれか面白い小説をおしえてください。
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なめらかプリンはまじほんとうになめらかで、なおかつ濃厚なたまごの味が舌にやさしいので好きだ。プリンというよりもこれはもう「なめらかプリン」という新しい食べ物である、などとありきたりな賛辞を送りたくなるほどにうまい。しかも百円。安い。おまえたちは何故食べないのか。
それはそうと、約二年ぶりに短編に投稿した。るるるぶ☆どっぐちゃん復帰祝いということで。投稿名義を変えようかと思ったが面倒なのでやめた。おれはただの「読解力もないのに感想を書く人」なんかじゃないぞというところを見せ付けてやるんだ。やれるのか。内容としては、今のおれが愛にあふれた人なのでそんな感じである。愛にしか興味がない。おまえたちは何故愛さないのか。
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mashの新作デモ音源が大量にアップされているぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!111111111111111
http://www.myspace.com/mashjp
女性ボーカルは前の方が好きだったがしかしいいのだ。いいのだ。おれは好きだ。大好きなのである。もったいないのでアルバムになるまでもう聴かないようにしよう。
第86期感想
#1 覚醒
- メタっぽいことを書いておけばだいたいなんとかなるのでらくちんだ。しかし、だいたいなんとかなるが、「だいたい」以上のものを作ろうとするとなると、骨が折れる。といういい見本。
#2 シェア
- わざわざ名前を出してきたので、てっきり「男が最後に彼女の名を呼ぶのだが、それは最初に出てきた女の名とは別の名前」という展開かと思ったのに違った。なんで名前出したの。どうでもいいじゃん。
- どうでもいいと言えば、『暑いせいかタンクトップを着ていて、白い肩が露出している』という描写もどうでもいいなあ。「タンクトップの肩口からのぞく白い肌に俺は情欲を云々」とか書いた方が小説っぽくないですか。小説ってなんですか、という質問はさておき。『タンクトップを着ていて』という状態に対し『暑いせいか』と理由を推測することはこの作品の中でなにかしら意味があるのですか、ってことですよ。「暑いし汗かく」という後ほどの展開に活かすにしては存在意義が貧弱すぎる。
- つーか部屋の中が精液臭いのでバレるだろう。
#3 生徒会の秘密
- 前半と後半で語り手が代わってるじゃないか。どうなっているんだこれは。
- 第三者的視点で見ていた『佐々木』が、その冷めた意識をふっとばした結果が『わたし』の現出である、という理解でいいのか。そんなわけないだろうが。
#4 夜のハーメルンの雪散りの恋
- 自分だけの世界を作り上げてしかもその世界の中で物語を進行させるというのは大変な作業であって、なおかつ物語が切ない。良い。
- 難癖をつけるとするならば、『いくらその音楽が優れていようとも、私たちのお腹を満たさねばあなたたちに安眠はないのよという脅しとし』なんて表現は至極わかりづらい。が、しかし、まあわかるのでいっか、と思わせるほどおもしろい。
#5 和蕎麦エレジー
- ポンポン読めてオチもわかりやすく安定しているだけに過剰な部分がなく物足りなさを感じる。悪くは無いといったところ。
#6 WORLD SCRUTCH
- これを日本語に超訳したものを読ませてほしい。
#7 アクロバチコ・アクロバチカ
- 偉い人たちが下世話なことを言ったり行ったりするというのは笑いの基本であってもちろん笑う。
- 読めば読むほど馬鹿馬鹿しい。真剣馬鹿馬鹿しい。良い。
#8 雪の雨
- 「高校生には高校生なりの苦しみや悩みがある」ことなんて百も承知であって、「だから何?」と言われないだけの武器を身につけなければ、単に「共感できる/できない」の評価しか与えてもらえないのじゃぞ。
- とおじいちゃんが言ってました。
#9 新年、新月、凍て夜に
- 『星が降るように輝き』という喩えが適切なのかどうか俺にはよくわからない。
- 『凍て夜』ってのもなあ。音を合わせるためなのかもしれないが、「凍てし夜に(いてしよに)」でいいのではなかろうか。
- 論理的思考というものができないのではないか、と疑わせる文章である。
#10 家庭の事情
- 不条理ギャグなのか。なにか元ネタがあるのか。わからない。
#11 集中、ひらめき、愛、覚醒
- ああー、
- 大好き。
- 学校の教室が舞台で、わたし(母親でかつ教師)と、娘(生徒)と、若い教師、の三人が登場しているということがわかりづらいのだが、それは関係性を説明する描写が欠けているからだ。いいのではないだろうか。そんなもの書くより楽しいことはたくさんあるのだから。
#12 夜を説く
- 発想はたぶんhttp://tanpen.jp/50/26.htmlに近いのだろうけれど、おれの書いたものより格段うつくしい。うつくしいものはいい。読んでいて恥ずかしくならない。
- 笹帽子さんなんだか次第に研ぎ澄まされてきたなあ文章が、と思った。やっぱりたくさん書くとそうなるのね。
#13 カマンベイベー
- うーん。文章が幼い。
- 「このドラマは学芸会レベルだ」と言うときと同じ気持ち。
- もちろん、学芸会を馬鹿にしているわけでは、ない。
- いつかどこかでだれかがこれと似た様な文章を書くはずなので、いまこの場所で君が書いたものを、わざわざ俺が読む必要性は皆無だ。
#14 冬の放課後
- ああー、
- 大好き。
- 女子女子してる。女子だ!
#15 ARK
- 双子は入れ替わるものだと古来より決まっておる。ジェラシーがその根底にある。しかし、入れ替わってもなお、わたしはわたしのままであることを、そして、失われた相手の存在の大きさを、いつかまざまざと見せつけられるのじゃ。そうなのじゃ。それはもうはっきりと決まりきった約束事なのじゃよ。
- と、おじいちゃんが言ってました。
#16 スナック
- あの場所=スナックなので、『私達は今、あの場所、にいる』(=スナックの中にいる)のであれば、その後の『だからそこに入れるけれど、入ろっか、とはどっちも絶対に言わなかった』が何を意味しているのかわからなかった。スナックの中に居るのか、居ないのか、わからん。
- そして、実際にスナックの中に入ったのかどうかというのはこの文章において重要な意味を持つように思われるので、それがわからんとなんとも評価しがたい。
- おもしろそうなのにもったいない。
#17 あなたは閉じ込められている
- なぜ生まれたばかりの赤ちゃんに自我が!?
- つーか、紐って酸素チューブやら静脈ルートやらモニター類だと思うのだが、しかし、自我があるのならそれらが自分の体につながってることくらい気づくのではないだろうか。壁から垂れ下がってるなんて認識になるわけがない。
- 引っ張ったら窓が出現する紐ってなんぞや。
#18 評
- 小説のふりして自分の意見を述べるのいくない。
- 逆か。
- まあでもいいやメタは。
- メロあるいはベタがいいな。
#19 天国 と 地獄
- はいそうですか。
#20 未だだ。
- 約束を切るってなにごと?
- 作者が思っているほどには俺はこの文章からなにも読み取れない、ごく簡単に言えば、何が書いてあるんだかわからん。
- たとえ読み取れたとしても到底おもしろいとは思えない。
#21 見えない線
- 言いたいことはわかるが見せ方があまりうまくない。
- 退屈な文章。
#22 夢
- 投げっぱなし夢オチ。いさぎよい。
- いや、厳密に言えば夢オチではない。「途中で眠ってこんな夢を見た」という話だ。
- 怖いんだか楽しいんだかはちゃめちゃな内容で、まさに夢らしい。
#23 パターンB
- そのパターンはひでえ。なにが? パターンAを見せたあとのパターンBのあっけなさが。
- 「見よ、この引き締まった肉体!」というような文章。「無駄を削ぐ」というより、「意味を伝えるのに必要最小限の文字しかありません」というような。
#24 繋恋橋
- はたして人間は「昔、あるところに」ではじまる夢を見るのであろうか。このような、三人称の視点での夢を見るのか。おれは見たことがない。
- 夢じゃなくて都市伝説でよかったのに。なぜ夢に。
#25 女がウサギになるまで
- 猿とか猿じゃないとか。
- これまでの作品を読んでいるといないとでは、まったく印象が異なると思う。
- おれは読んでいるので、今期も楽しく読めてよかった。
#26 デジタルデバイド
- 情報→デジタル的な演算→結論、という流れには、「入力する情報の取捨選択」「演算方法の決定」「結論に従うか否かの選択」において何らかの意思が介入する。そもそも話者は自らの意思をデジタル演算装置を用いて表明している。それは特にデジタル演算処理がなされた意思というわけではない。
- つまり、この一連の話は論理がめちゃめちゃである。誤った仮定をあたかも真理であるかのように書いている。そして、その「真理」をベースに話を展開しているため、めちゃめちゃなのである。
- 『デジタル化された環境を演算し、人間の都合の良い結論を得ることは、果たして可能であろうか。それを可能にしたとき、すべてはデジタル化され、すべてを演算によって操作できるようになるだろう。演算によって存在が許され、また消し去られ、あるいはそれ以前に生み出されるものも演算によって決定される、何者の意思も存在しない世界が、そこに現出するだろう。』とかもうひどい。『すべてを演算によって操作できる』ことと『何者の意思も存在しない』ことが併存するわけがない。他者を操作することは、「わたし」の意思発動にほかならない。
#27 ヒデとマサの話
- いまさらゲイなんて目新しくもないわけで、こんなものをオチにもってきて何を書きたかったんだろうか。
- 頭の悪い中学生が新しい知識を身に付けたので鼻水を垂らしながら手当たり次第にまわりの大人に教えてまわっているような文章だ。
#28 日だまりの詩
#29 削除されました。
- いやもうまったくもってほんとうにどうでもいい内容なので削除されてしかるべき。
#30 エンドレストラック
- 『君』というひとがどういう人間なのかよくわからなかった。語りかけている話者のひとりよがりな感じが強かった。
#31 ウェルドイット!
- エンターテイメントだ!
- 前のめりでニヤついてしまう感覚、そう、エンターテイメントなのだ。