短編第46期感想

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#1 藍紅(カンタカナさん)
こういう小説って、ここに書かれていないことを想像しながら怪奇(?)小説として読むべきなのか、それとも書いてあることだけを不条理小説として読むべきなのかよくわからないです。どうせ1000字でおさまらないのなら、恐怖だけに焦点を絞ってギミック的な部分を省いた方がいいんじゃないかなあ。


#2 奇才サナウンサー「松本」の過去(水島陸さん)
つっこみどころ
○ピリオド(.)と句点(。)の表記ゆれ
○主人公と付き合っていた女性は、付き合う前から特技について知っていたのか(これに関しては、なんとなく付き合い初めてから特技に気付き、離れられなくなったという解釈も可能)
○下ネタすぎてちょっとひく

舐め達磨って表現は初めて聞きました。そういう用語があるんですね。というか、調べてびっくりしたんですが「舐め達磨松本」という人物は実在するんですね、NHKに。なんかなー、どっかの掲示板のネタSSみたいだなー……と思ったら2ちゃんねるの英語板で同じ文章を見つけて笑いました。


#3 通り抜ける道路の端で(fengshuangさん)
昔、ホメ殺し屋というのが話題になりました、1分100円で客をホメちぎるっていう。僕はただ聞いてもらう方がいいです。この、話を聞いてくれる人たちの素性についてはほとんど書かれていません。これにより透明な存在としての、純粋な聞き手を表現できていると思います。


#4 結合(戸川皆既さん)
ひとことも書いてないんですが、なんか卑猥ですね。これはもう台詞のセンス勝負ですが、素晴らしかったです。特に後半部分、混沌が沸点に達する辺りがすごい。


#5 ひじき藻(桑袋弾次さん)
トイレに行くのを我慢しがちなので所長はボウコウエンになったってことですね、違うか。白衣の若い女教師がひじき入りチョコレートを吐き出すってのが、実によろしいです。


#6 丼の縁(あきのこさん)
実際にこういうCM撮ったら面白そうですが何のCMですかねこれ。


#7 4代目、4台目(笹帽子さん)
第1節目が好きです、血→泉→温泉→温泉卵の連想とか。


#8 部屋が猥雑な私(戦場ガ原蛇足ノ助さん)
誰かも言ってましたけど、お天気お姉さんって、なんかこう、いろいろ考えさせるような存在ですよね。あー、このまんまの生活を送ってる人はいっぱいいるんだろうなー、僕もそうですけど。


#9 楽器を使いきれ(Revinさん)
ずいぶん切ない歌だなあこれ。タイトルはかっこいいんですが、楽器はピアノだけなんで、ちょっと違和感。


#10 Recipe#3(xxxさん)
やだなー。愛する人に死なれたくないなあ。永遠も完全も約束できないけど、なるべくそれに近いくらい愛したいなあ。死にたくねー


#11 例えばあるものをないとして(森栖流鐘さん)
「だがそれはトリックであると思う〜」の文章だけどうしても納得できないなあ。強引に条件をくるくる変えて流れていく文章、嫌いじゃないんですけど。強引な論理展開をいかにまともそうに見せるかがポイントだと思います。


#12 リンゴを選ぶとき(わたなべ かおるさん)
リンゴ食べるときって、まず丸ごと皮を剥いて、4つか8つに切り分けて食べるので、お母さんなんか字悪だなあとか思っちゃいました。


#13 ユメの終わりに(振子時計さん)
途中まで違う展開を予想してたんですが、「そっちかー」と感心しました。この先のサポートまでしてもらえるなんて羨ましいなあ。


#14 擬装☆少女 千字一時物語1(黒田皐月さん)
最後の苦笑いってのが切ないですね。


#15 バラ5輪(しなのさん)
家って、自分が思ってる以上に、自分に対して影響力を持っているんですよね。バラの花のジャム、探してみよう。


#16 にっき(公文力さん)
怖い文章なんだと思う、たぶん。


#17 使命(青いブリンクさん)
細部に対するこだわりを感じました。それらが絶妙なセンスで配置されているので、心に引っかかり、何度も読み直してしまいました。


#18 幸福の条件(qbcさん)
表現自体は使い古された感があるけれど、よくもまあこれほど具体的で生々しい話が書けるなあと、最近のqbcさんの文章を読んでいるとちょっと余計な心配をしたりしなかったり。


#19 『blue uprising』(安倍基宏さん)
文章自体も、文章が描き出すイメージも、鮮やかで切ないです。関係無いけど、□Isotopeの空言■ってかっこいいサイト名ですね。


#20 猫転がったり、寝ころがったり(宇加谷 研一郎さん)
宇加谷さんの書く台詞ってなんか好きです。でも、「意味はあるのかもしれないし、ないのかもしれない」という結語のさらに向こうにある解答のようなものを求めてしまいます。


#21 髑髏島兄弟のスカルコンビネーション(ハンニャさん)
いやー面白い。おそらくハンニャさんが狙っている通りの面白さを読む人は感じていると思うので、このままやっちゃって欲しいと思います。


#22 カタリさん(三浦さん)
「カタリさん」って名前、ものすごく怖い、存在感があります。ただ怖いだけでなく、奇妙な親近感のようなものも感じ、まさに妖怪って感じです。


#23 多分、青春の窓辺(とむOKさん)
ほのぼの。なめくじ消滅しなくてよかったー。


#24 キャプチャウェブ キャプチャネット(るるるぶ☆どっぐちゃんさん)
そろそろ作品集を出していいんじゃないでしょうか。書籍として持ち歩きたい。


#25 うんこの話(曠野反次郎さん)
うんこ!うんこのこと書いて文学になるんだからすごいですよねえ。