割り箸事故訴訟の判決が出たみたい。

 「死んだ息子にかける言葉がない」。割りばし死亡事故で、(管理人注:実名を載せるのは不適切だと思うので中略)被告の過失を認めなかった12日の東京地裁判決。過失を認めながら、死亡との因果関係を否定して無罪とした刑事事件の1審判決よりも遺族には厳しい判決となった。「どうして息子が死んだのか、ただ知りたいだけ」。事故から約9年。そんな遺族の願いはまたも閉ざされた。
産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080212/trl0802121813019-n1.htm

いくつかニュースを読んでみた限りでは、産経が一番何もわからずに記事を書いているようでした。まず、医師の実名を報道する神経がよくわかりません。犯罪者なわけでもなく、また、少なくとも今回の判決で医師には何も責任がないことが裁判例(追記:よく見る「判例」という用語は厳密には最高裁判判決のことを指すそうなので訂正)として示されたのですから、実名報道をする必要は全く無いように思います。また、『遺族の願いはまたも閉ざされた』という書き方も、「本当は遺族が正しいのに裁判では残念ながら認められなかった」とでも言いたいかのように読めます。これでは偏向報道だと言われても仕方ないでしょう。
この事件について、検証サイトなどを見るに、今回の判決は妥当だったように思います。もちろん、それは論理的帰結であって、ご遺族にしてみれば「感情的に」許せないという心理は十分理解できます。しかしながら、この裁判をきっかけとして、日本の医師たちが小児・救急に携わることへの恐怖を感じてしまったことは見逃せない事実だと思います。小児科医が足りないことと、このような医療訴訟を擁護するようなニュースを並べて報道してしまうマスコミの二枚舌にはもううんざりです。