泣いた日

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

今さら読んだ。もし、これを読んで家族について改めて考えさせられたという人がいたなら、その人は普段なにも考えてないアホか何かなんだろう。リリー・フランキー氏の自伝的な文章であるけど、内容のほとんどは自分の家族についてのみ書かれていて、仕事や友達や特に恋人に関する記述はびっくりするほど淡白だ。これはおそらく母親への追悼という目的によってのみ書かれたのだと思う。だから泣けて当然である。この場合の涙は、テレビの特番で「親子、感動の再会!」とかやってるのを見て流す涙と同じである。別に文章がうまいから泣くわけじゃない。文章はうまいけど、構成は適当で、思いついたままに母親のエピソードをだらだらと書きなぐったにすぎない。だから、ひとつの小説として見れば完成度は低い。というか小説じゃないだろこれ。リリー氏の長いエッセイだと思って読めばいいんじゃないの。